masagrantのブログ

起業家、IPO断念、そしてMA。これからのビジネス人生を考えちゃうblogです。

2017年、スタート!

こんにちは。masagrantです。

2017年、今日からスタートします。

今まではFacebookをblog的に使ってきてたけど、いつからかなあ、疲れちゃって。何だか僕を含めみんな真面目に自慢合戦してる感じや、タイムライン見てても「で何?」的なものが多すぎて・・・FBだと正直に書けないので、ビジネスについて率直に思うことを中心に今更ですがblogに残しておこうと思います。

ってことで、IPO、上場準備を進めながら断念しM&Aで会社を売却した44歳の僕が改めてここで今後のビジネスライフについて思うところやプライベートでの価値観を勝手につづっていこうと始めてみます。最初に、去年8月末のM&Aに至った経緯とその時の想いを残しておきますね。

2016年8月31日、第10期最終日に僕は会社を売却し、退任しました。自分で起業し10年運営してきた会社をMAで売却、exitしました。構築したASPサービスが公共機関中心に国内シェアトップレベルにまで育てられました。このサービスを軸に2年前からIPO、上場準備を行い、トップライン(売上高)もあとちょっとかなぁってところまで持っていくことができました。

今、市場にはたんまりお金が溢れています。起業家にとってはチャンスの時期だと思うんです。特にIT系新規事業なんかにはVCがニコニコ歩み寄ってきて「何億欲しい?」みたいな感じで。投資を受ければ事業スピードが上がり企業の成長を加速させるし、同じ事業が何年も続かないという環境下で既存の成功体験をスケールしたりピボットするための劇薬になります。でも、急成長は怖くてVCのお誘いは断ってきました(一部地銀VCは受けましたが)。急成長する企業は結構急失速もしています。ダイエットみたいに。一緒に働く社員も急激なドライブにはアレルギーも強くなって・・・うちもそれで何人も中堅社員が辞めちゃいました。。。他社(VCを受けた企業)でも「無理があるなあ」ってエクイティ(成長ストーリー)が多くて、よほどのストーリーとオペレーションが必要なんだな、と感じてました。

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うちのエクイティを構成する新規事業が躓いたこともMAした一つの理由です。僕らは公共領域でシェアを伸ばし、この分野に意識が傾きすぎて、「社会のため」とか「地域のため」というカラーを強くしすぎたこともよくなかった。本当に地域のためだったらn倍にできるビジネスモデルはあてはめづらいし、無理すれば地域の特徴を無視することにもなるだろうし、恐れずに言えば地域貢献ビジネスは儲かりません。先ず地域の一番の資産は「人」であって、その「地域の人々」の心を外様が束ねることは相当難しいし、それを覚悟で地域のため、と謳うには僕には腹の括り方が弱かったんだろうと思います。何せ50人弱の会社ではリーチできるエリアが限られてきます。もちろん、インターネットの、僕らのようなASPクラウドサービスがn倍となり役に立つこともあります。でもなにより信頼関係を作る過程で湧き上がる地域の課題にどれだけ辛抱強く立ち向かえるか、という決意が必要なんです。僕の上場に向けてのエクイティには、「地域のため」という漠然としたゴールしかなく、「地域の収益のため」という具体的な答えに欠けていたんだと思います。地域課題を解決できると机上で練った企画を元にしたエクイティストーリーは、主幹事証券会社を決める時に各社PER50~60想定、というシナリオを持ってきてくれました。いわゆる「こうすれば値がつきますよ!」的なシナリオです。この時にどこかで不安の方が勝ってたような気がしてます。このストーリーを実現するプレイヤーをどうするか、それは社員でありパートナーであり、特にパートナーという面ではうまく連携することでエコシステムを作り上げないといけなかったんですね。VCを使うメリットは、このエコシステムを縦横のネットワークとして使い倒すことで成長スピードを速められるところだと思います。でも、当時うちの会社が公共色が強くなりすぎてて、まるで役人のように保守的なムードが漂ってました。新たな事業ストーリーを実現するためにも、チャレンジャブルな空気を作らなきゃいけなかったんですが、足を引っ張る姿も見られるようになって・・・特に上層部。変わりたくない心理が強かったんですね。あの時僕はどうすればよかったんだろうな、と今でも時々振り返りますが、今言えることは自分自身がブレることないエクイティストーリーを作り、そのオペレーションをリードすることが必要だったんじゃないか、それをメンバーに根気よく伝え続けることができていれば、と感じてます。

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僕の場合、exitを決めた日から退任しか選択肢を持ちませんでした。売却の意向表明から多くの企業に興味を持って頂きましたが、「(僕が)残らないなら・・・」と手を下げる企業も多かったです。公共機関での実績はかなりの質量だったと思います。そのディールは個人情報を扱うこともあり、契約離反率が非常に低いことも優位に働きました。手を上げてくれた企業の中には一部含め上場企業が大半でしたが、MA後退任する、ということは決してプラス要因ではありませんでした。結果的に、僕が譲渡を決めた相手は公共市場への興味が深く、うちのストック収益を評価してくれた医療介護系の企業です。そして、この会社は創業者である会長が、単身名古屋でトップとして指揮する、と言う熱意までいただきました。そして、残される社員のケアとしても金銭面での優遇も十分対応してくれました。それでも結果的に役員は全て辞任、メンバーの中でも数人退社する、ということにはなりましたが、非常に誠意ある企業とのお見合いが成立しました。

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今思うと、事業会社として永続していくことは本当に困難です。どれだけ恐れずに変化し続けることができるか、まさに進化論、そして僕の好きな言葉「不易流行」です。世の中には変わらなきゃいけないことと変えてはいけないことがある、松尾芭蕉の言葉ですが、全くその通りだと思います。

そしてこの「変わらなきゃいけないこと」として、僕らはもう少しエンターテイメント要素、ゲーミフィケーション要素を盛り込むべきでした。よく言ってたんですが、「サプリメントより頭痛薬」、いわゆる”なきゃ困る”的なビジネスを重要視していて、でもなんだかんだ豊かな時代にサプリメント要素、あったらいいな的なビジネスツールも投下しておかなければそのビジネスの魅力に欠けるのも事実です。僕は、もっとサプリメント側の事業がやりたかったんです。当時はほぼ10:0的な感じで頭痛薬ビジネスでした・・・困りごとの解決も大切ですが、人が笑える、楽しめる、喜べる要素がないビジネスはちょっとつまんないな、と。それに、会社全体がサプリメントを拒むムードにもなっていました。だいたいトレンドってもののほとんどがこのサプリメント側にあって、社内でもこうしたトレンドとのタッチポイントが希薄になり、何が流行ってんのか、何でそれが楽しいのか、ってところのキャッチアップが弱くなっていました。僕がMAを決めて走っていたラスト半年の間にうちにきてくれたエンジニアがいたんですが、彼はゲーム業界出身で、こうした公共性の高い頭痛薬という枠にとらわれず、ゲーミフィケーションを僕らの主戦場に投下しようとしてくれました。でも、ちょっと遅かったんです。その頃には僕の気持ちは固まってたんです。もっと早くこうした出会いを作ることに奔走していれば・・・という後悔もあります。既存の主戦場としていた公共分野におけるメッセージングサービスは離反率もかなり低く、安定したストックビジネスでした。今もそうです。これがぬるま湯になっていました。多様なデバイスSNSがある中で、様々な企業と連携しながらエコシステム化することが必要でした。でも、トレンド接点が薄い環境では、なかなかエンドユーザーである地域住民にとっての利便性まで考えることができなかったんです。

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メンバーは家族だ、と思っていましたが、これもどこかで歯車が狂ってきたんですね。今もそうですが人材の奪い合いみたいなところもあって、根っこで大切にしていた「バスに乗る仲間」として僕らがどういう人たちを求めていたかを丁寧に伝えきれないまま人を増やしてきたことにも原因があると思います。会社ってのは、社長で決まるわけでも何でもなく、役員、各マネージャー、スタッフそれぞれの役割を使命を持ってこなすことができて初めて輝くわけで、その各役割に異常がないかをメンテナンスすることこそがトップの大切な仕事だと思います。僕のやり方はかなりカジュアルだったと思います。でも、やっぱりきっちりとした規律ってのは、いくらカジュアルな雰囲気を持つ会社でももっと大切にするべきだったと反省です・・・

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とまあこんな振り返りなんですが、exit自体には全く後悔はありません。自分で進んで選んだ道です。この選択に誇りも持っています。きっと、新たな体制でより飛躍してくれるだろうし、僕自身もこの10年で得た経験は大きな財産です。何でも二度目の方がうまくいく、そう思いながら、また新たなビジネスを作っていこうと思っています。そして新たなチャレンジができる環境を与えていただいた皆様には、心より感謝です。しばらくはいろんな経験をしてみます。やっぱり、経験こそが新たな創造の源だと思うので、いろいろな目線で様々な経験を改めて積んでいきたいな、と思ってます。

みなさん、今年もどうぞよろしくお願いします^^

Have an awesome tomorrow! 

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